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Tnorのよもやま話~第9回~

皆さんこんにちは!

株式会社Tnor、更新担当です。

 

さて

~確認事項~

ということで、精密機器洗浄に携わる現場で実施すべき高度な事前確認事項を、5つの視点から詳しく解説します。

 

精密機器分野における産業洗浄は、他業種と比べて格段に高い精度と管理レベルが求められます。半導体、医療機器、航空部品、光学機器などの分野では、わずかな粒子・汚染が致命的な欠陥や不良を引き起こす可能性があるため、洗浄工程は製品の品質保証において非常に重要です。

そのため、作業前の「事前確認」を徹底することが、安全性と製品品質を両立させる鍵となります。


✅ 1. 洗浄対象物の材質・表面処理の確認

精密機器では、部品の材質やコーティングが非常に繊細です。まずは以下の点を詳細に確認する必要があります:

  • 材質の種類:アルミニウム、チタン、セラミック、ステンレス、特殊樹脂など

  • 表面処理の有無:酸化膜、陽極酸化、メッキ、樹脂コートなど

  • 耐薬品性・耐熱性の確認:薬品や温水の使用が想定される場合は必須

表面を傷つけたり、コーティングを剥がすような洗浄方法を避けるため、図面・仕様書の事前取得と確認が重要です。


✅ 2. 清浄度(Cleanliness)要求の確認

精密機器分野では、「洗浄した」だけでは不十分です。どのレベルまで清浄にするか、クリーンネス基準を正確に把握しましょう。

  • パーティクル(粒子)サイズの基準:例)0.3μm未満の粒子残留なし

  • 油脂・有機物の残留許容範囲:TOC(全有機炭素)基準など

  • イオンクリーニング基準:金属イオンや塩素イオンの残留管理

洗浄後の検査方法(光学顕微鏡、FTIR、白濁試験など)とあわせて、顧客と仕様を事前にすり合わせる必要があります。


✅ 3. 使用薬品・洗浄方法の適合性チェック

精密部品の洗浄では、薬品や超音波の使用条件が極めて限定されることがあります。

  • 中性洗剤や超純水の使用が前提のケースも多い

  • 超音波洗浄の周波数や出力の設定確認(共振による破損防止)

  • 真空洗浄・気化洗浄など特殊工法の指定がある場合も

  • 使用薬品のSDSの確認と、保管・希釈方法の明文化

特に有機溶剤(IPA、アセトンなど)を使用する場合は、防爆設備や換気の有無も確認しましょう。


✅ 4. 洗浄環境(クリーンルームや無菌環境)の確認

精密機器洗浄では、洗浄環境自体のクリーン度も重要です。以下の環境条件を作業前にチェックしましょう。

  • クラス100~100,000のクリーンルームレベルの確認

  • エアシャワー・粘着マットなどの異物管理設備の有無

  • 作業員の無塵服・手袋・マスク・靴カバーの着用状況

  • 静電気管理(ESD対策)が必要な場合の装備確認

搬入前後の製品保管方法(クリーンパック、真空包装など)も事前に確認し、不純物再付着のリスクを防ぎます。


✅ 5. トレーサビリティと記録管理の準備

精密分野では、「誰が」「いつ」「どのように」洗浄したかを追跡可能にする必要があります。

  • 作業員の記録、使用薬品のロットNo、洗浄条件のログ化

  • 洗浄後の乾燥・検査記録の保管

  • 顧客提出用の清浄度検査結果の帳票準備

自社でのISO9001やISO13485の運用体制がある場合は、それに準じた文書管理を徹底します。


🔍 ミクロンの違いが製品品質を左右する

精密機器の洗浄では、「見た目がきれい」では不十分であり、数μm以下の異物・残留物までコントロールすることが求められます。
それを実現するためには、事前確認を徹底してリスクを最小限に抑えるプロセス設計が不可欠です。


✅ 精密洗浄の事前確認チェックリスト(抜粋)

項目 チェック内容
対象物 材質、コーティング、寸法
清浄度 パーティクル基準、TOC、イオン残留
洗浄法 使用薬品、機器の設定、手順
環境 クリーンルーム条件、作業者PPE
管理 記録の保管・提出フォーマット

作業前の5分の確認が、製品の不具合ゼロ・顧客信頼の向上に繋がります。ぜひ自社の手順書や教育マニュアルに取り入れてください。

 

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